『1本のゲームが私の人生を変えた』第3章

親元を離れ、他県で一人暮らしを始めた大学1年生のときだった。

高校でBASARAをやっていたときに、猿飛佐助の声優の「子安武人」さんにハマった私は、

子安さんがでている乙女ゲームがないものかと探していた。

 

そこで見つけたゲームが『幕末恋華~花柳流剣士伝~』だった。

 

幕末が舞台の歴史もののゲームだった。

この中に、「才谷梅太郎」という人が出てくる。

 

才谷梅太郎は、坂本龍馬が実際に使っていた偽名だ。

(ちなみに、声優は櫻井孝宏さん)

 

それまで、坂本龍馬に別段の思い入れもなく、

歴史で習った人物、ぐらいの印象だった。

薩長同盟の仲介役だった人だよね?

ぐらいの。

 

しかも、この「花柳剣士伝」には前作があって、それが「新撰組」をメインにした話だったのだが。

才谷さんは、その作品で攻略対象のキャラだった。

 

つまり、「花柳剣士伝」ではただのモブ。

もちろん、幕末がメインなことには変わりがないので、ゲーム上、登場回数は多い。

しかし、特に攻略対象ではないので、

誰かを攻略している時に一緒に会話に加わる…程度だった。

 

そんな才谷さんの一言が、私の生き方を変えた。

 

「一度の人生、泣くより笑うぜよ」

 

どんな会話の流れだったかも全然覚えていない。

 

ただ一言。

その一言が私には響いた。

 

中学で、身勝手に裏切られ。

高校で、人を信じることを辞め。

上辺だけの生活を送り。

何かに思い入れることもなく、

現実と強く結びつくことを避けていた私。

 

でも、才谷さんは

 

一生懸命だった。

一度きりの人生に、全力だった。

全力で動いて、

周りの人を惹きつけて

日本を変える一人となった。

 

そんな生き方と、

彼の一言に、

私は気付かされた。

 

「そうか、一度の人生なんだ。

だったら、悲しんでるより

楽しまないと」

 

つまらない身勝手や、見て見ぬふりで、

時間を浪費していることこそ、

つまらない。

 

全力で、動かないと。

やりたいことを、やらないと。

なんでも、やってみないと。

 

悲しい仮面をかぶっていたって、

楽しいわけがない。

 

そこからの私は、

「一度きりの人生を楽しむ」ことに全力だった。

 

まずは、聖地巡礼と称して外国へ行った。

国の擬人化マンガ『ヘタリア』をキッカケに、外国に興味をもつようになり、

特にドイツが好きだった私は、友達を誘って二人でドイツへいった。

 

今思えばかなりヒヤヒヤした旅だった。

一日目しか宿を決めず、そこからは訪れた街のInformationで宿を探す。

行先も決めず、前日に相談して決める。

有名な観光地をメインに回らず、行きたいところへ行った。

 

あの旅は、「生きるために生きていた」。

本当にいい経験になったし、ああいう旅をまたしたいと思う。

 

国内旅行も、あげればキリがない。

聖地巡礼、歴史探訪・・・言いようは色々あるが、

日本全国、全部が興味のある場所で、思い出のある場所だった。

もちろん、ゲームの中で。

特に、歴史のゲームをやると、舞台になった場所に行きたくなる。

そうなると、だいたい長期休暇にはどこかへ行っていた。

日本の文系大学生というありがたい身分を使って。

(なにせ長期休みが多い。)

 

それから、有川浩さんの作品に触発されて、「空飛びたい」と思い、

パラグライダーの体験をした。

今まで、一回もそんなことを思わなかったのに。

やりたいと思ったから、やった。

一回ぐらい、空を飛んでもいいんじゃない?と。

ちなみに、タンデム飛行(インストラクターと飛ぶ体験)をしたが、

一回落ちた。(痣と擦り傷ぐらいで、ほぼ無傷)

これもなかなか無い体験だろう。

 

乙女ゲームの一言が、

それまで冷たい現実の中で無気力だった私を

温かい現実へ連れて行ってくれた。

そして、行動を変えてくれた。

 

だから、私は乙女ゲームに感謝してもしきれない。

今の人生は、生き方は、全部、それが原点だから。

 

しかし、そんな温かい現実は長くは続かない。

 

ここまでの人生で、

一番のどん底が私を待っていた。

 

来る日も来る日も

「このまま線路に飛び出せば」

そんなことを考えながら行きていく日々が、すぐそこに。

けれど、足音を立てずひっそりと

近づいていた。

 

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